Claude Code + tmuxで並行開発を試してみた Claude Code Communication 編
By Yosuke | 2025年6月22日
株式会社tolvの宍戸陽介です。
前回、Claude Code + tmux(ターミナルマルチプレクサ)を使って並行処理を試してみましたが、
今回は、@akira_papa_ITさんが公開している、Claude Code エージェント通信システム
というのを利用して、試していきたいと思います。
@akira_papa_ITさんのClaude Code エージェント通信システム
というのは、@daikon265さんが作成したものをForkして作られているようです。
nishimoto265/Claude-Code-Communication
Contribute to nishimoto265/Claude-Code-Communication development by creating an account on GitHub.
github.com
Akira-Papa/Claude-Code-Communication
Contribute to Akira-Papa/Claude-Code-Communication development by creating an account on GitHub.
github.com
準備
基本的には、手順に沿って行っていけば、特に難しいことはないです。ここでの準備も基本的にはREADMEやsetup時のメッセージを元に行っていきます。
まずは、Claude-Code-CommunicationをGitHubからCloneして、フォルダを移動します。
git clone https://github.com/nishimoto265/Claude-Code-Communication.git
cd Claude-Code-Communication
次に、下記コマンドでtmuxのセッションを作成していきます。
./setup.sh
実行すると、下記のように次のステップが表示されます。
📋 次のステップ:
1. 🔗 セッションアタッチ:
tmux attach-session -t multiagent # マルチエージェント確認
tmux attach-session -t president # プレジデント確認
2. 🤖 Claude Code起動:
# 手順1: President認証
tmux send-keys -t president 'claude' C-m
# 手順2: 認証後、multiagent一括起動
for i in {0..3}; do tmux send-keys -t multiagent:0.$i 'claude' C-m; done
3. 📜 指示書確認:
PRESIDENT: instructions/president.md
boss1: instructions/boss.md
worker1,2,3: instructions/worker.md
システム構造: CLAUDE.md
ステップの通り、セッションをアタッチしていきますが、この時にプレジデントとマルチエージェントは別々のターミナルで実行します。
セッションのアタッチを実行すると、下記の画像のようになります。ターミナルAとターミナルBはそれぞれ別のターミナル(ウィンドウ)になります。

次に、各tmuxでClaude Codeを起動していきます。上記のステップでは、claude
で立ち上げていますが、前回同様に--dangerously-skip-permissions
のオプションをつけて起動します。
おそらく、どのtmuxから実行しても良いかと思いますが、Presidentのtmuxから実行していきます。手順とは逆ですが、先にbossとworkerを起動して、最後に自分自身を起動します。
場合によっては、認証が求められるので、それぞれの環境に合わせて認証を行ってください。
for i in {0..3}; do tmux send-keys -t multiagent:0.$i 'claude --dangerously-skip-permissions' C-m; done
tmux send-keys -t president 'claude --dangerously-skip-permissions' C-m
実行すると、最終的には下記のように各Claude Codeが起動した状態になります。

これで、実行する準備が整いました。
Presidentへの指示出し
今回の指示は、前回同様キャットフードのLPを作成してもらいます。
指示は、前回タスク分けの指示などを行っていましたが、その辺りの指示を削除していますが、President向けに指示を追加しています。
President向けの指示がないと、President一人で作業を開始してしまいます。
あなたは、このプロジェクトの責任者です。下記要件を把握して部下に指示を出し、プロジェクトを完了してください。
- キャットフードの定期販売LPを作成したいです。
- デザインの異なるランディングページ(LP)を6パターン作成してください。
- 各LPは、HTML/CSS/JS をすべて1ファイルに含めた「1ファイル完結型」としてください。
実行すると、Presidentからbossへ、bossからworker1-3へ作業指示が出され、最終的にbossからPresidentに作業完了が報告されます。

実際に使用してみて
今回のサンプル以外にも、1ページ完結型のHTMLのデザインパターンを20種類出すなどをやってみました。
やってみた感じとしては、
- トークンを大量に使用するので、Proプランだとリミット制限で止まる
- 要件用のファイルを用意して、Presidentに指示を与えても、workerは要件用のファイルを確認しないので、全員に要件用ファイルを確認させる指示が必要
- 20種類をworkerに分担させても、それぞれのデザインを把握していないので、同じようなデザインができあがるので、PresidentまたはBossにイメージを作らせてからworkerに指示を出す必要がある
などなど、指示出しに注意が必要だったり、実際にアプリを作成するとなった場合は、お互いのworkerの作業がコンフリクトしないような指示が必要だと感じました。
この辺りの、指示の難しさなどは、Cognitionが出している、「Don't Build Multi-Agents」の内容がとても面白いです。
マルチエージェントを行う原則として、完全な履歴の共有と、各エージェントが行ったアクションの意図を共有する必要があり、それができないのであれば、単一エージェントで実行するのが良いと記載されています。
Cognition | Don't Build Multi-Agents
Frameworks for LLM Agents have been surprisingly disappointing. I want to offer some principles for building agents based on our own trial & error, and explain why some tempting ideas are actually quite bad in practice.
cognition.ai

それとは逆に、Anthropic社は多岐にわたる調査や研究タスクなど、並行処理が求められる場合は特に有効としています。
オーケストレーターワーカーパターンという、リーダーが戦略を立てて、複数のサブエージェントにタスクを実行させる方式を採用しているそうです。
これにより、高い性能を発揮させることが可能になる一方で、トークンのコストが通常のチャットの15倍になるのがデメリットのようです。
高度なプロンプトによる指示や、LLM自身を使った評価手法など実務的な課題に取り組んだことにより、デメリットをはるかに上回る結果が出るそうです。
How we built our multi-agent research system Anthropic
On the the engineering challenges and lessons learned from building Claude's Research system
anthropic.com

両サイトとも、英語のサイトですがNotebookLMなどを使って、概要などを確認すると良いかもしれません。
まだまだ、AI組織を動かすには課題がありそうですが、Anthropic社のように実績を積み上げている事実もあるので、いずれもっと身近なものになるのではないかと思います。