Claude Code + tmuxで並行開発を試してみた
By Yosuke | 2025年6月15日
株式会社tolvの宍戸陽介です。
最近、XなどでClaude Code + tmux(ターミナルマルチプレクサ)を使って、並行処理を行うのをよく見かけるようになりました。
Claude Codeをtmuxで複数起動し、社長 -> マネージャー -> 開発者
みたいに指示出しを行うようなことができるようです。
今回は、ここまでできるかわからないですが、面白そうなので、並行処理を色々試してみようと思います。
環境は、Macの環境で行います。
Claude Codeのインストールやtmuxのインストールなどは割愛します。
また、成果物のクオリティなどについては、特に言及しません。クオリティが重要なのは理解していますが、あくまで並行作業のお試しです。
プロンプトの作成
まず、最初に簡単な要件を作成して、それを3つのタスクに分割してもらいます。
要件と、分割したタスクの内容を、task-list.md
に出力してもらうように指示します。
今回は、キャットフードのLPを作成してもらうことにしました。
- キャットフードの定期販売のLPを作成したいです。
- それぞれデザインの違うhtmlを6パターン作成してください。
- それぞれのhtmlは1ファイルで完結するようにしてください。
- 並行作業を行うために、6パターンのhtmlを2パターンずつに分けて、タスクとして分割してください。
- 分割したタスクは、task-list.mdに作業指示として保存してください。
- 分割したタスクは並行作業を行うため、task-list.mdを参照すれば、要件とやるべき作業がわかるようにしてください。
上記をClaude Codeに投げてtask-list.md
を出力してもらいます。
# キャットフード定期販売LP作成タスクリスト
## プロジェクト概要
キャットフードの定期販売をテーマとしたランディングページを6パターン作成する。
各HTMLファイルは独立して完結し、異なるデザインアプローチを採用する。
## 全体要件
- キャットフード定期販売のランディングページ
- 6パターンの異なるデザイン
- 各HTMLファイルは1ファイル完結(CSS、JSも含む)
- レスポンシブ対応
- 購入・申し込みフォーム含む
## タスク分割
### タスク1: HTMLパターン1-2の作成
**担当ファイル**: `lp-pattern-1.html`, `lp-pattern-2.html`
**デザイン方針**:
- パターン1: シンプル・ミニマルデザイン(白ベース、清潔感重視)
- パターン2: 暖色系・親しみやすいデザイン(オレンジ系、家庭的な雰囲気)
**実装要素**:
- ヘッダー(ロゴ、ナビゲーション)
- メインビジュアル(キャッチコピー、メイン画像)
- 商品紹介セクション
- 定期購入のメリット説明
- 料金プラン
- お客様の声・レビュー
- 申し込みフォーム
- フッター
### タスク2: HTMLパターン3-4の作成
**担当ファイル**: `lp-pattern-3.html`, `lp-pattern-4.html`
**デザイン方針**:
- パターン3: プレミアム・高級感デザイン(黒・金色ベース、上質な印象)
- パターン4: ナチュラル・オーガニックデザイン(緑系、自然派アピール)
**実装要素**:
- ヘッダー(ロゴ、ナビゲーション)
- メインビジュアル(キャッチコピー、メイン画像)
- 商品紹介セクション
- 定期購入のメリット説明
- 料金プラン
- お客様の声・レビュー
- 申し込みフォーム
- フッター
### タスク3: HTMLパターン5-6の作成
**担当ファイル**: `lp-pattern-5.html`, `lp-pattern-6.html`
**デザイン方針**:
- パターン5: ポップ・カラフルデザイン(多色使い、若い世代向け)
- パターン6: 医療・健康重視デザイン(青・白ベース、信頼性アピール)
**実装要素**:
- ヘッダー(ロゴ、ナビゲーション)
- メインビジュアル(キャッチコピー、メイン画像)
- 商品紹介セクション
- 定期購入のメリット説明
- 料金プラン
- お客様の声・レビュー
- 申し込みフォーム
- フッター
## 共通仕様
### 必須コンテンツ
1. **商品名**: "プレミアムキャットフード"
2. **価格**:
- 通常購入: 3,980円
- 定期購入: 2,980円(25%OFF)
3. **キャッチコピー例**:
- "愛猫の健康を毎日支える、プレミアムフード"
- "獣医師推奨の栄養バランス"
- "定期購入で25%OFF+送料無料"
### 技術要件
- HTML5準拠
- CSSはインライン記述
- JavaScriptもインライン記述
- レスポンシブ対応(モバイルファースト)
- フォームバリデーション機能
- 画像はplaceholder使用可
### 作業の進め方
1. 各タスクは独立して並行作業可能
2. task-list.mdを参照して要件確認
3. 完成したHTMLファイルは動作確認必須
4. 全パターン完成後、デザインの差別化を確認
## 納期・優先度
- 全タスク同時進行
- 各パターンの完成度を重視
- デザインの多様性確保が最重要
技術要件や全体要件など、task-list.md
を参照すれば理解できるように出力されています。
要件定義とタスクリストは、ファイルを分けても良いかもしれません。
1インスタンスでの並行作業
Claude Code自体は、1インスタンス(インスタンスという単位が正しいかわかりませんが)で並行作業が可能らしいので、まずはそこから試してみます。
並行タスクの実行
下記プロンプトをClaude Codeに投げて並行実行をします。
task-list.mdを参照して、それぞれのタスクを並行作業で完了させてください。
Claude Codeで各タスクを把握して並行実行をしてくれます。

複数インスタンスの並行作業
次は、複数インスタンスによる並行作業にチャレンジしようと思います。
今回はマネージャー -> 開発者
の流れにします。
マネージャーにプロンプトを投げて、マネージャーから開発者(3インスタンス)に作業指示を出すようにします。
tmuxのペイン分割
作業するにあたり、tmuxを下記のように分割します。
┌───────────────────────┐
│ Manager │
├───────┬───────┬───────┤
│ dev A │ dev B │ dev C │
└───────┴───────┴───────┘
tmux new-session -s lp-dev -n manager
tmux split-window -v
tmux select-pane -t 1 -T "dev-a"
tmux split-window -h -t 1
tmux select-pane -t 2 -T "dev-b"
tmux split-window -h -t 2
tmux select-pane -t 3 -T "dev-c"
上記で分割して、分割したペインに名前をつけます。
dev-aからdev-bのペインが等間隔にならないですが、Ctrl+b → space
を何回か押すことで綺麗に揃います。
各ペインでclaude codeを下記コマンドで実行します。
claude --dangerously-skip-permissions
--dangerously-skip-permissions
は「許可プロンプトをスキップ」するオプションなので、実行の際は自己責任でお願いします。
各ペインの遷移は、Ctrl+b → 矢印キー
で移動が可能です。
プロンプトの調整
マネージャー用のプロンプトを下記のように作成します。
このプロンプトも、AIに作成してもらいました。
前回は、タスクの振り分けの指示などをtask-list.md
に出力していましたが、今回はマネージャーが指示を出す想定なので、この作業を省略します。
また、send-keys
がうまく動作しなかったので、tmuxペインID指定を行っています。
進捗管理などをマネージャーに行わせることもできるみたいですが、もうひと工夫が必要になりそうなので、今回は対応しませんでした。
あなたはこのプロジェクトの開発マネージャーです。以下の要件に基づいて、3名の開発者(dev-a, dev-b, dev-c)にタスクを割り振り、tmux上で指示を送って作業を開始させてください。
---
【プロジェクト概要】
- キャットフードの定期販売LPを作成したいです。
- デザインの異なるランディングページ(LP)を6パターン作成してください。
- 各LPは、HTML/CSS/JS をすべて1ファイルに含めた「1ファイル完結型」としてください。
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【作業方針】
- LP6パターンを2パターンずつ3つのタスクに分割してください。
- dev-a / dev-b / dev-c にそれぞれ1タスク(2パターン)を割り振ってください。
- 各担当には `tmux send-keys` を使ってタスク内容を送信し、作業を開始させてください。
---
【tmuxペイン対応表】
tmuxのペインにはタイトルをつけていますが、`send-keys` ではタイトルではなく「ペインID(%N形式)」を使ってください。
- dev-a:`%1`
- dev-b:`%2`
- dev-c:`%3`
- マネージャーペイン(このペイン):`%0`
---
【送信の注意】
各開発者に送信する指示は、1行ずつ分割するのではなく、まとめてタスクの内容を送信した後にEnterで開発者のタスクを実行してください。
`tmux send-keys` で**文字列を送信する場合は**、`tmux send-keys -t {ペインID(%N形式)} "{送信する文字列}" && sleep 0.2 Enter`で必ず実行してください。
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【出力ルール】
- 各devに送る `tmux send-keys` のコマンドは、このペイン(%0)に表示してください。
このプロンプトを実行すると、マネージャーのペインから各開発者のペインへ指示を出して実行します。
実際に実行した結果のスクリーンショットは下記になります。

「送信の注意」のプロンプトをうまく書かないと、マネージャーが開発者にプロンプトを投げたまま止まってしまい、うまく実行されないことがありました。
この辺りは、下記サイトを参考にさせていただきました。
[医療者向け]30分構築!Claude Codeを5体並べて自動で並列開発!人間はそろそろ不要です|吉川 響(よしかわ ひびき) 医師×会社経営
これの解説記事になります。 いろいろ沼ったので、トラブルシューティングも紹介しながら30分ほどで実現できるようにお伝えします! Claude Codeでやばいの実現できました AI同士で会話しながら仕事をする自動開発チームです Xで見かけたものを苦労して作り上げました 動画見てもらうとわかるのですが、パネル左上が上司役として部下に仕事を振りまくってます
note.com

まとめ
今回は、マネージャーから開発者への一方向での実行を試してみましたが、参考にさせていただいた記事のやり方などで、LLM同士が会話や進捗報告をしながら実行することも可能なようです。
Anthropicのサイトには、git worktreeを利用したやり方や、他にもGitHubのプルリクベースで@claude
をつけてコメントすると、修正してプルリクを更新するなどもあり、LLMとの開発のやり方も大きく変わってきそうな気がしました。
Claude Codeを使った並行開発は、まだ実験段階ですが、いくつかの可能性を感じました。
メリット:
- タスクの分割と並行実行により、作業時間の短縮が期待できる
- AIによる自動化により、人的リソースの節約が可能
- 実行中他の作業などを行える
課題:
- プロンプト設計の難しさ(特に複数インスタンス間の連携)
- 成果物の品質管理
- エラーハンドリングや進捗管理の複雑さ
今後は、進捗管理や品質チェック機能を組み込んだ並行開発システムの構築に挑戦してみたいと思います。